《6/28 ウクライナ盲人協会(UTOS)ホームページより》
6月 24日、ウクライナ盲人協会ポルタヴァ支部では、「戒厳令下にある障害者の心理支援のためのアートセラピー」と題するセミナーを開催しました。(註:ポルタヴァは中部ウクライナに位置する人口約30万人の都市)
アートセラピー(芸術療法)は、描画、音楽、写真、演技、物語など表現活動をとおして治療や問題解決をはかる心理療法です。毎日サイレンの音を聞き、悲観的なニュースが続き、ウクライナの全国民が強いストレスにさらされています。先の見えない状況の中で感情の状態を改善するのに役立つスキル、能力を習得することを目的にこのイベントが企画されました。
講師は自身が2014年ルハンスクで、7ヶ月半にわたって銃撃を受けた経験を持つアートセラピストのナタリア・ディダ氏と助手のオルガ・ズブ氏。(註:ルハンスクは南東ウクライナの都市で、2014年以降ウクライナ政府の管轄が及ばず、ルガンスク人民共和国の支配下におかれている)
講師のナタリア・ディダ氏は2014年の親ロシア派騒乱での経験を語った
セミナーは3部制で、第1部のテーマは「敵対行為の影響を受けた人々の心理的感情状態の特殊性」。参加者は、自分の状態を改善するために抗ストレス法を使用することの重要性について学びました。芸術活動を通じた治療ですが、年齢はもちろん、視覚の有無、芸術スキルに関係なく参加することができます。
第2部は、「敵対行為の影響を受けた人々の心理的感情状態を改善するためのアートセラピー実践の成功経験。障害者にとって補助となる実践」
第3部では、参加者がおもちゃ作りのマスタークラスが開催されました。大人も子供も、緊張を和らげ、細かい運動能力の発達にも有益な便利なおもちゃです。
おもちゃ作りの指導を受ける全盲の男性
セッションの合間にはコーヒーブレイクがあり、参加者同士の交流がはかられました。
参加者の集合写真。小学生くらいの子供からお年寄りまで。
このイベントは、欧州障害者フォーラムの支援を受けてウクライナ国民議会によって実施されているプロジェクト「ウクライナの危機:障害対応と回復」の枠組みの中で開催されました。